【司法書士が解説!】祖父名義の自宅を孫に名義変更できるの?

ここでは相続の際に祖父母の自宅を孫に相続したケースを相続の専門家が紹介します。

相談時のご状況

数次相続不動産

松本市在住の62歳の女性からのご相談です。

同居していた父が亡くなり父と住んでいた土地建物の不動産を相続しようとしたところ、土地建物がすでに亡くなっている祖父の名義のままとなっていたため、相談者の名義に変更したいとのことで相談にいらっしゃいました。

祖父が亡くなった時に不動産の名義変更ができていれば良かったのですが、祖父から父への名義変更の相続登記ができていない状況でした。

そのため、結果として「父から子へ」ではなく「祖父から孫へ」という形の相続をすることとなりました

このように不動産を相続する際に、2代以上相続登記ができていなかったというケースもあるので不動産を相続する際は注意が必要です。

当事務所のサポート

スマホ×女性

このようなケースでまず懸念されるのは、時間が経ってしまった故に枝分かれするように相続人の数が増加し、相続人の確定に時間がかかってしまうことです。

遺言書も無かった今回のケースでは、まずは、遺産分割協議に参加する権利を有する相続人が誰なのかを、漏れなく特定しなければなりません。

祖父の出生から死亡までに渡る戸籍の収集から始める必要があり手続が煩雑なため、ご本人ではなく当事務所が職務上請求にて戸籍の収集をサポートいたしました。

本件でお調べした相続人数は10人以上、取得した戸籍は合計で25通以上にもなり、相続人の確定だけで2か月程の時間がかかりました。

その後は10人以上の相続人との遺産分割協議のため、各相続人への連絡や協議そのもののサポートをさせていただきました。

戸籍収集について詳しくはこちらのページをご覧ください。

結果

掌に家

相続人の中には、ご本人が今まで一度も会ったことがない方も含まれており、ご本人は協議が整うか非常に心配されていました。

しかしご本人が各相続人に丁寧にご連絡・対応して頂いたこともあり、無事に協議が整い相続登記の申請をすることができました。

その結果、無事祖父から孫である相談者ご本人に住んでいる建物が名義変更されました。

複雑な相続ではありましたが、適切な対応を行ったため無事にご相談者様の想いが達成されることとなりました。

孫に財産を相続させることはできる?

原則、孫に土地を相続させることはできません。

法律で相続できる相続人の順位が決まっているからです。

しかし例外として、孫に相続財産を承継させることもできます。

下記では、孫に財産を承継させる方法について解説いたします。

遺言を作成する

一つ目は、「遺言を作成する」方法です。

相続が発生すると基本的には法定相続人が遺産を引き継ぎます。
しかし遺言によって、遺産の贈与が指定されている場合は、指定された人が受け取ることができます。

遺贈には「包括遺贈」「特定遺贈」の2種類があります。

包括遺贈:遺贈する財産を割合で決める
特定遺贈:特定の財産を遺贈する

具体的には、包括遺贈の場合は「全財産の〇%」のような形で引き継ぐことになります。
包括遺贈の場合はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐことになるので注意が必要です。

特定遺贈の場合は「○○の不動産を遺贈する」というように、特定の財産を遺贈します。
特定遺贈の場合は、負債を引き継ぐことはなく、指定された財産のみ引き継ぐことができます。

どちらにしても、遺贈で財産を引き継いだ場合は相続税が発生します。
財産を引き継いだ人が相続税の納税義務が発生します。

代襲相続

代襲相続とは、相続人になるべき人が先に亡くなってしまった場合、亡くなった方の孫や甥・姪が相続人となり相続を行うことです。

具体例として、被相続人(A)の法定相続人であるAの子供(B)が亡くなっていた場合、
Bの子供であるCが財産を引き継ぐぎます。
つまりこの場合は「孫への相続(A→C)」が発生します。

このように代襲相続をした人(C)を代襲相続人と呼び、亡くなった相続人(B)を被代襲者と呼びます。

養子縁組する

養子縁組とは、法律上の親子関係を作り出す方法です。

この場合、祖父母が孫と養子縁組を行えば、孫は法律上「子」になることができます。

相続における「子」には実子のみでなく養子も含まれます。養子縁組を行うことで、孫は子として相続権をえることができ、祖父母は確実に孫に財産を引く継がせることができます。

注意点として、このような養子縁組は争族に発展する可能性が高くなるため、事前に家族会議をおこなうなど、対策することをおすすめします。

数次相続では相続人が多くなる!

はてな

このように、今回のケースであれば1度目の祖父から父への相続の届け出がきちんと行われず、そのまま父から子への相続が発生するケースを「数次相続」と言います。

1度目の祖父や祖母から父や母への相続がきちんと行われず、祖父や祖母から孫へという形での相続が発生する数次相続では一般的な相続とは異なる特別な注意点が出てきます。

一般的な相続では親から子であるため、隠し子がいるような特殊事例を除き、相続人の確定はそこまで複雑なものにはなりません。

一方で数字相続の場合には祖父の孫までが相続人となるため相続人の数が非常に多くなります。

そのため、相続人間の関係性も複雑化しやすく、相続自体も複雑化する傾向にあります。

今回のケースでも、戸籍謄本を元に相続人を確定させる作業だけで、我々相続の専門家である司法書士ですら2か月の時間を必要としました。

万が一数次相続が発生した際には必ず相続の専門家に一度相談しましょう。

数次相続は一般的な相続と比べて数倍の複雑さ・大変さを持っていると認識いただいて構いません。

だからこそ、自分自身ですべてを行うのは、「相続後の訴訟のリスク」「間違った手続き順序を取ったことによるミスの可能性」といった観点からあまりお勧めはできません。

まずは専門家の意見を聞いてから判断しましょう。

 

 専門家からの一言

相続

このようなケースでは、正確な知識の元で一歩ずつ手続きを進める必要があります。

誤った知識によって予期せぬトラブルに巻き込まれないようにするためにも、まずは専門家から話を聞きましょう。

当事務所では数次相続を含む相続に関するお悩みをお持ちの方に向けて無料相談を実施しております。

相続に豊富な経験を持つ司法書士が親切丁寧にお話をお伺いいたします。

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