負担付死因贈与契約ってなに?使い方から注意点、一般の贈与との違いまで解説

負担付死因贈与

【この記事でわかること】

■負担付死因贈与とは何か
■負担付死因贈与が使われることの多い場面
■負担付死因贈与を利用する場合の注意点

今回は負担付死因贈与について解説していきます。

あまり聞きなれない制度ですし、「負担付」と聞くとなんだかネガティブなように感じる方もいるかもしれませんが一切ネガティブなことはありません。

贈与する側、贈与される側、双方が望みを叶えることができるという点で、生前対策として非常に優良な制度の一つとなっています。

では負担付死因贈与について詳しく見ていきましょう。

負担付死因贈与とは?

 

負担付死因贈与

「贈与者の死亡によってその効力を生じる」という条件をつけ、贈与する人と贈与を受ける人とが契約したものが死因贈与契約です。

死因贈与契約は、贈与するものと贈与を受ける者との間での合意を契約として残すものになります。

そのため双方の合意がなされているとみなされるため、贈与した者が亡くなった場合、この死因贈与契約を贈与を受ける者の意向で放棄することができないという特徴があります。

これに負担を付したものが負担付死因贈与契約です。「負担付」というのは、贈与をする方が、贈与を受ける方に、何らかの義務・負担を強いることです。

遺言書よりも実行度合が強く、成年後見よりも自由度が高いという意味で、使い勝手の良い制度になっています。

負担付死因贈与が使われるケース

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負担付死因贈与では、「贈与を受ける側が何らかの義務・負担を負う」という形の死因贈与でした

この場合、贈与を受ける者は、贈与をする者が亡くなり相続が発生するまでの間、その義務または負担を全うする必要があります。

どのような義務・負担が契約されるかはケースによって異なりますが、多くは「身の回りの世話」や「ペットの世話」というものが見受けられます。

もう少し具体的には以下のような「負担付贈与契約」がよく利用されます。

■家を贈与する代わりに、残りのローンを払ってほしい
■現金を贈与する代わりに、障害を持つ兄弟の世話をしてほしい
■株式を贈与する代わりに、借金を返済してほしい
■車を贈与する代わりに、自身が死ぬまでは自由に乗らせてほしい

見てみると分かるかと思いますが、契約の形はかなり自由度が高いものになっています。

負担付死因贈与契約の注意点

注意点

負担付死因贈与の手続きにおいて最も注意をしておくべきことは、その契約書に契約内容を明確に記載しておくことです。

そうすることで、実際に契約を履行する場面になって履行が曖昧になったり、他の相続人との間でトラブルが発生することを防ぐことができます。

中でも、

■贈与する財産
■負担の内容

この2点は必ず明確に記載しておく必要があります。

資産が不動産の場合は、登記事項証明書の記載に従って正確に記載しましょう

また、預貯金は「銀行名」「口座の種類・番号・名義人」を明示します

死因贈与契約も遺言書と同様に、執行者を指名することが可能です。

一般的に、死因贈与契約を行うと、そこで指定されている贈与財産について他の相続人と利害対立に陥ることが多くなります。

そういったリスクを避けるためにも、負担付死因贈与を検討されている方は司法書士などの相続の専門家に相談してみることをおすすめしています。

公正証書を利用する

ポイント

死因贈与契約とは、その名に「贈与契約」と冠していることからもわかる通り、立派な贈与契約書の一種です。

特に負担付贈与契約の場合は「負担」が存在するため、公正証書で書面で契約しておくことに大きな意味があります。

贈与する側としては「贈与をするのだから、きちんと負担を履行してもらうために」、贈与される側としては「負担を負うのだから、将来的にきちんと贈与を行ってもらうために」、書面に残しておくことが重要になります。

その点で、公正証書は契約書としては最も安全かつ確実と言えるでしょう。

公証人の立会いが必要となるため、内容が虚偽や偽造でないことの証明も確実に行われます。

負担付死因贈与のような少し複雑な制度を用いる場合には、将来的なトラブルリスクの回避のためにも公正証書を用いることをおすすめしています。

負担付死因贈与契約の解除

はてな

負担付新贈与契約を解除したい、取り消したいと思った際にはどうなるのでしょうか?

答えは「負担が履行されたかどうかで異なる」というものになります。

負担が未履行の場合

負担付死因贈与契約の負担が履行されていない場合は、遺贈の取り消しの規定により取り消すことが可能です。

当然ですが、負担のない一般的な死因贈与契約の場合はいつでも解除が可能です。

負担が一部であっても履行済みの場合

負担が一部でも履行されていた場合、原則的には負担付死因贈与契約の取り消し・解除を行うことはできません。

一部でも履行されていたら取り消せないため、すべて完全に履行されていた場合ももちろん取り消しはできません。

ただし、取り消しがやむを得ないと認められるような「特別な事情」があれば取り消しが認められる場合もあります。

遺言書による遺贈と何が違う?

相続

遺言書による相続での遺贈と負担付死因贈与、どちらも人が亡くなった時点で財産の移動が起こるという点では共通した部分を持ちます。

しかし、この2つの制度の間には、

・負担付死因贈与は双方の合意があって初めて契約が成立する
・遺言書による遺贈は財産を遺贈する側の一方的な意思表明である

という「受け取る者の意思」という点で大きな違いがあります

この違いが、「実効性」という点で大きな違いを生みます。

遺言書については、例え遺言書を残していたとしても、相続人間で遺産分割協議が行われ遺言書通りの理想の相続が達成されない場合があります。

一方で、負担付死因贈与では双方の合意が確認されているため、契約書そのものに不備がない限り契約書を作成した時の遺贈が確実に行われることになります。

ただし、遺留分を侵害するほどの贈与を設定してしまうと、遺留分侵害の請求を受ける可能性もあるので気を付けましょう。

まとめ

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今日このページを読んで覚えて帰って頂きたいのはこの3点です。

  • ◇贈与する者だけでなく、贈与を受ける者の承諾も必要
  • ◇契約とともに遺贈を受ける権利と負担を履行する義務が発生する
  • ◇原則として一方的な撤回は不可能

こうした最も重要な点を把握したうえで、公正証書として契約書を残しましょう。

その際には、その他の相続人の遺留分を侵害しないための配慮も必要になります。

こうした注意点については、わかりずらい所や煩雑になってしまうところがあることは否めません。

ご自身で判断し契約書を作成することが難しい場合には、一度司法書士をはじめとする相続の専門家に意見を仰いでみましょう。

専門家の意見を取り入れることで視界がクリアになり、理想の遺贈を達成しやすくなります。

最後に

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負担付死因贈与をはじめとする相続についてお悩みの方に向けて、当事務所では無料相談を行っております。

松本市、長野市、岡谷市、安曇野市をはじめとして長野県全域から沢山のご相談をいただいています。

相続に専門特化した当事務所の司法書士が親切丁寧に皆様のお話をお伺いいたします。

ご相談は0120-523-160よりお願いいたします。

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