遺言書の発見から相続の終了までを徹底解説!

被相続人(遺言者)が亡くなり、いざ相続が始まるとなって初めて相続について考えるという人も少なくありません。

人生の中で遺言書や相続について考える機会はそうそうありません。
そのため、実際の相続が始まってから「何をすればいいのかわからない」「逆に何をしてはいけないのかもわからない」という方も頻繁に相談に来られます。

遺言書に関していえば、「遺言書を家庭裁判所の検認前に開けてはならない」というルールも存在しており、こうしたルールも知らないままに開封してしまいトラブルに発展するケースも存在します。

また、遺言書を書こうと思っている人の中には「遺言書を書いたところで実際に自分の思った通りに執行されるのか」「遺言書をとりあえず自己流で書いてみたが不安が残る」という方もいらっしゃるかと思います。

そうした様々な方のニーズにこたえるべく、本ページでは

・遺言執行者とは何者か
・遺言書を発見した人はどうすればいいのか
・遺言書の執行はどのように行われるのか

といった情報を徹底的に解説しております。ぜひ参考にしてみてください。

遺言書を発見したらまず行わなくてはならないこと

遺言書_写真

自筆の遺言書を発見したらまず必ず行わなくてはならないのが「家庭裁判所による遺言書の検認」です。

家庭裁判所に発見した遺言書を提出しその遺言書が偽造・改竄されていないかを確定させる作業が遺言書の検認です。

この検認を怠ると、過料として5万円が課せられるだけでなく、遺言書の正当性に疑問が生じるため相続紛争のけっかけにもなる可能性があります。必ずこの検認は行いましょう。

なお、「公正証書遺言」または「自筆証書遺言管理制度を用いた自筆遺言」の場合は検認の必要はありません。

自筆証書遺言管理制度に関してはこちらのページをご覧ください。

検認が終了し遺言書で遺言執行者の指定がされていた場合、指定された遺言執行者によって遺言書にそった形で相続が開始されます。

では、この遺言執行者とはどのような役割を持ち、どのように相続に関与するのでしょうか?

遺言執行者の権限

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民法1012条1項により、遺言執行者は「相続財産の管理や遺言の執行に必要な一切の行為を行う権利並びに義務を有する」とされています。
民法の規定に従い、遺言執行者は相続財産の保存行為(修繕含む)、利用行為(運用)、改良行為を行うことが許可されています。

具体的には、

・相続財産の引き渡しおよび管理
・相続財産の関係書類の引き渡し及び管理
・相続登記の申請
・遺言執行の際に必要となった訴訟行為
・預貯金の払い戻しおよび解約

といった行為が例として上げられます。

民法1015条に「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。」という一文が追加されたことでより強い権限が遺言執行者に認められています。

また、権限以外の義務としては「相続発生の通知」があります。

相続が発生したことを相続全人に対して通知することが定められているため、相続開始の連絡がないことによる相続トラブルの発生も防ぐことができます。

では、実際にはどのような手順で遺言は執行されていくのでしょうか?

遺言執行の手順

節約

相続開始の通知

2018年の民法の改正以降、遺言執行者は相続人への相続開始の通知を行うことが義務化されています。

その義務に従い相続人に遺言の執行が開始されたことを通知します。

相続人の確定

遺言者の戸籍を収集します。

遺言者の出生から死亡までの戸籍をすべて集めることで、関係する相続人の確定を行います。

遺言者の財産目録の作成

遺言執行者は、財産の証明となる様々な書類を揃え、それらを元にして遺言者の財産目録を作成する必要があります。

この財産というのはプラスだけでなく借金やローンといったマイナスの財産も含まれます。

遺言執行者はこうして完成した財産目録を相続人に交付する義務があります。

遺産の分配を実行する

遺言書に記載された内容に則った形で、遺産を分配します。

「誰に何をどれだけ相続するのか」を遺言書に記載されたとおりに分配していきます。

2018年の相続法改正の際に民法1012条1項に「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」という一文が追加されました。

これにより遺言の内容を実現するという目的のもとで、不動産の登記申請や預貯金の払い出し・解約といった行為を遺言執行者が行うことができるようになりました。

執行者が様々な手続きを行い、各財産を各相続人に渡していくようなイメージになります。

相続財産の不法占有に対し、明け渡し・移転請求を行う

上記の民法1012条1項としてさきほど紹介した通り、遺言執行者は遺言実現のために必要な一切の行為を行う権利が与えられています。

相続に上がっている財産を不法に占有している人がたとえ法定相続人であったとしても、遺言執行者は相続人を優越して請求を行い明け渡しを要求する権利を有しています。

遺贈受遺者に遺産の遺贈を行う

法定相続人以外に遺産を遺贈したいという旨の記述があった際には遺言執行者によってその遺贈が実行されます。

遺言執行者が指定されている場合、遺贈を受ける第三者と遺言執行者の二名のみで所有権移転の登記申請が可能になります。

遺言執行人が指定されていない場合他の法定相続人らと一緒に遺贈を受ける第三者も登記申請を行わなくてはならないため、遺言執行者を指定しておくことでこうした手間やトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

認知の届け出

遺言に通じて、婚外子を認知することができます。生前に認知を行うことも当然可能ですが、諸事情により生前に認知することができない場合もあります。

そうした場合に、死後に遺言を用いて認知を行うことができます。具体的には遺言執行者が遺言執行者に就任してから10日以内に認知の届け出を役所に提出するという形で認知が完了します。

相続人の廃除

遺言者と相続人の関係性が容認できないほどに悪い(虐待や重大な侮蔑)場合、遺言書に相続人から相続権をはく奪する旨を書くことができます。

その場合は、遺言執行者によって家庭裁判所に相続権の排除の申し立てが行われます。家庭裁判所が事情を勘案した結果申し立てが通れば、当該の相続人から相続権が排除されます。

まとめ

相続③

ここまで相続執行者とは何者なのか、遺言の執行がどのように行われていくのかを見てきました。

お気づきかと思いますが、遺言執行者を指定しておくことで相続がスムーズに進むことがお分かりになるのではないでしょうか?

一方でこの遺言執行者の選定は困難の伴う点の一つです。

相続人の中から選任した場合、遺言執行者の制度を正確に理解していない他の相続人からの不満が出てくる可能性があります。

かといって一般の第三者にお願いするには不安が残ります。

そういった面でも遺言執行者には専門家を指定することをおすすめしています。専門家である士業資格者は複雑な手続きにも慣れているため抜け漏れやミスを防ぐことができます。

また、万が一自身が遺言執行者に指定された場合にも、専門家に相談することをおすすめしています。手続きの中には10日以内に実行しなくてはならないものもあり、一般の社会人として生活していた場合そこまで迅速に対応することが難しい場合もあります。

「誰を遺言執行者に選定すればいいのかわからない」
「自分が遺言執行者に選定されていると知ったが時間がない」
「遺言執行者に就任したが何をすればいいのかわからない」

といった思いをお持ちの方は是非一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

遺言書は作成したり保管したりすることが目的ではありません。あくまでも「理想の相続」のために用意するものであり執行されなくては目的の達成はかないません。

ご自身の理想の相続の達成のため、遺言者が遺してくれた想いを引き継ぐため、我々中日本司法書士事務所では相続・遺言に関した相談を受け付けております。

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